最近のGoogle広告は「AIの活用が前提」の世界になってきています。これまでも、自動入札・部分一致・レスポンシブ検索広告といった、AIを使った仕組みはありました。その中で新たに出てきたのが、Google広告の新機能「AI Max」です。
この記事では、AI Maxが検索広告にどう関わっているのかを、分かりやすく整理して解説します。
1.AI Maxとは
まず最初に、AI Maxを理解するうえで分かりやすいポイントは、「AI Maxは新しい配信メニューではない」ということです。
P-MAX(Performance Max)のように、別のキャンペーンを新しく作るものではありません。今使っている「検索キャンペーン」の中で、AIの力をより強く使えるようにする仕組みになっています。
では、どんなふうに変わるのか。大きく言うと、変化は次の3つです。
- 検索語句の拾い方が変わる
- 広告文の作られ方が変わる
- 遷移先ページの選ばれ方が変わる
この3つのポイントについて解説していきます。
2.①検索語句の拾い方の変化
従来の検索広告は、基本的には「キーワードを軸にする」運用でした。完全一致・フレーズ一致・部分一致といったマッチタイプを使いながら、「どの検索語句に広告を出すのか」をコントロールしていく運用という認識です。
しかし、最近の検索行動はかなり複雑になってきています。
ユーザーが短い単語だけで検索するのではなく、
- 長い文章で検索する
- 比較検討の意図を含む曖昧な検索をする
といったケースが増えてきています。
それに対してGoogleは、AI Maxについて「既存のキーワード・広告文・URLなどを学習して、今まで拾えていなかった新しい検索ワードを広げるもの」と説明しています。
つまり、単に登録しているキーワードに厳密に反応するだけではなく、ユーザーの意図や文脈といった部分も含めて、「関連度の高い検索」を拾いにいく方向に変わっていっている、ということです。
3.②広告文の作られ方の変化
AI Maxには、「Text customization(テキストカスタマイゼーション)」という機能があります。
これは、以前あった自動作成アセットを少し発展させたもののようで、
- ランディングページ(LP)
- 既存広告
- キーワード
などを元に、見出しや説明文を、より検索語句に合わせて調整する仕組みになっています。
Googleは「CTAや独自性を含んだアセット生成の精度が改善している」と言っているのですが、正直なところ「本当にそこまで精度が上がっているのかな?」という気もします。うまくいっているケースももちろんある一方で、まだまだ課題もあると感じています。
これまでのレスポンシブ検索広告では、「広告文をいかにうまく作るか」というところがポイントでした。ただ今後は、「広告文を手でうまく作る」よりも、「サイトの中にどんな情報を載せておくのか」というほうが、さらに重要になっていきます。理由は、AIが広告文を調整する際の材料を、サイトの訴求内容から拾ってくるからです。
そのため、AI Maxなど、AIによって見出しを作っていく時代に入っていくと、次のような「設計力」が非常に重要になってくると考えています。
- どの訴求を学習材料として渡すのか
- どのLPを用意するのか
- LP内で、強みや価値をしっかり言語化しておく
このあたりをどれだけ設計できるかが、今後のポイントになりそうです。
4.③遷移先ページの選ばれ方の変化
AI Maxには、「Final URL expansion」という仕組みがあります。
これは、検索の意図に応じて、広告が最初に設定したURL以外のページについても、「こちらのほうが関連度が高い」と判断すれば、そちらに誘導することがある、というものです。
Googleはこれによって「検索意図により合ったページにユーザーを送り込める」と言っていますが、便利な反面、注意点もあります。
- 本当はこのページに流し込みたいのに
- AIが別のLPを選んで流してしまう
といった場合があり得ます。
Final URL expansionはオン/オフの切り替えができるのですが、オンにする場合にはリスクもあると考えられます。
- 絶対にこのメッセージで広告を出したい
- 絶対にこのLPに飛ばしたい
といったキャンペーンにおいては、AI Maxの導入は慎重になる必要があります。
5.AI Maxの効果と注意点
AI Maxは結局、いいのか悪いのか。Googleの公式発表では、
- AI Maxを使うことでCPAやROASを維持しながら、より多くのコンバージョンを獲得できる
- 広告費を上げていっても、安定して成果を取っていける
- 完全一致やフレーズ一致中心で運用していたキャンペーンと比べて、AI Maxを導入することで、平均14%コンバージョンが増加した。条件によってはそれ以上の改善も示されている
と言われています。
ただ、新しい機能を発表するときにいつも誇張されることがあるので、少し冷静に見る必要があると思っています。少し辛口な見方をすると、「すべてのアカウントで成果が良くなるとは限らない」という感覚です。
- LPが弱い
- コンバージョン計測が不安定
- 除外キーワードの管理が甘い
といった状況で、AIにそのまま配信対象を広げさせてしまうと、無駄クリックが非常に多くなり、広告費が無駄になってしまう可能性がありそうだと感じています。
端的に言うと、「オンにすれば何でもかんでも成果が出る」機能ではないということです。
ある程度、土台が整っている状態でないと、AI Maxをオンにしても成果は見込みづらいのではないか、と考えています。また、ある程度「ランディングさせたいページが決まっている」場合には、AI Maxはあまり有効ではないのかもしれません。
まとめ
今回は、AI Maxについてお伝えしてきました。
これから「キーワード運用がいらなくなる」というわけではないと思います。
ただし、検索広告が、「キーワードを登録して制御する運用」から「AIに学習させる材料を整えて、成果を最大化する運用」へと、少しずつシフトし始めている、というイメージは、頭の片隅に置いておきたいところです。
「LPのテーマを明確にすること」「画像だけではなく、しっかり文字で強みを訴求していくこと」は、今後ますます重要になってきそうです。
そして、「AIに任せる部分」と「人が制御する部分」を分けて考えていくこともポイントになります。
- 配信時間やユーザーのターゲティングといったところはAIに任せつつ
- 予算管理やサイトの改善といったところは人が担当する
という流れに、今のところはなりそうです。
AI Maxは、検索広告を完全に別物に変えてしまうというよりは、今までの検索広告をより「意図理解型」「自動最適化型」に進化させ、そちらにシフトしていくための、実験的要素が強い設定と捉えていただけると、イメージしやすいと思います。
クリック単価が安く収まりつつ、実コンバージョンにつながる、新たな一手になってくれればいいなと考えています。


2026.04.30

