Google広告で広告を配信する時に、皆さん必ずエリアの設定をすると思います。例えば、自院を中心に半径5kmや、〇〇市全域など商圏となるエリアに広告を配信するようにします。
しかし、Googleアナリティクスで確認すると、Yokohama、Shinjuku、osaka、minatoなど全く違うエリアでクリックが多数発生していて「ギョっ」とされたことがあるのではないでしょうか?
今回は、GoogleアナリティクスとGoogle広告のエリアの誤差についてお伝えします。
エリア判定の方式と精度
GoogleアナリティクスとGoogle広告においてエリア判定に誤差が生じていますが、これはそれぞれのエリア判定の方法が異なることが大きな原因です。
また、Googleアナリティクスは主にIPアドレスを利用してエリア判定を行っているのですが、IPアドレスによるエリア判定の精度に問題があるようです。ではそれぞれのエリア判定の方法について詳しく調べてみましょう。
Googleアナリティクスのエリア判定
Googleアナリティクスは、IPアドレスを元にエリアの判定を行っています。
IPアドレスとは、世界にただひとつ、インターネットに接続する際に割り振られる住所のようなものです。
「ICANN」(アイキャン)という世界的組織によって管理 されていて、ICANNから日本の管理組織である「JPNIC」(ジェーピーニック)に割り振られ、そこからインターネット・サービス・プロバイダ各社を経由して利用ユーザーへと割り振られています。
JPNICは各都道府県ごとにIPアドレスの範囲を割り当てていますが、利用者の多い東京都が割り当てが多く、次に大阪が多く割り当てられています。
このようにIPアドレスは各都道府県などのエリアと紐づいているので、IPアドレスを元にエリア判定を行うことが可能となっています。
Google広告のエリア判定
Google広告はGoogleアナリティクスと同じようにIPアドレスを利用しており、それに加えて「クエリ解析」も行い精度を高めています。
クエリ解析の詳細については「システム上の事なのでお答えする事が出来ない」とのことで明確な回答を得ることができませんでしたが、IPアドレスの精度を高めるための、Google独自の工夫がされているようです。
例えば、スマホの場合はGPSを利用して現在地を取得していますので、検索時にその情報を取得していることが考えられます。
PCの場合であれば、Google検索を行った際にも、検索結果の最下部には現在地が表示されています。Googleマップで現在地が表示される場合には、すでに現在地を把握していると考えられます。
これらが「クエリ解析」の情報としてエリア判定に使われているのではないでしょうか。
エリアの精度について
エリアの精度については、どちらも100%の精度は無いと明記されています。
”Google アナリティクスでは、市区町村、国、大陸などの多くの地域ディメンションを利用できます。こうしたディメンションの値はヒットの IP アドレスから自動的に抽出されるため便利ではありますが、次のようなデメリットもあります。(引用:アナリティクスヘルプより)
- IP から導き出した地域情報は必ずしも正確ではない。
- 標準的な地域ディメンションの値はユーザーの言語に翻訳されるので、他の言語や他のツールを使用するユーザーとはデータの共有が難しいこともある。
- 事業活動は必ずしも国や行政区分の単位で行われるわけではない。たとえば、北米では複数の州を東部、中部、西部にグループ分けしてビジネスを展開する場合がある。ヨーロッパでは北欧、中欧、南欧などの区分が考えられる。”
”留意点
Google の地域ターゲティングは、さまざまなシグナル(ユーザーの設定、使用デバイス、Google のプラットフォームにおける行動など)に基づく機能であり、可能な限りご指定の地域設定に合致するユーザーに広告を配信するものです。シグナルはそれぞれに異なるため、あらゆる状況で 100% の精度が保証されるわけではありません。したがって、パフォーマンスの指標を総合的にチェックし、目的に沿った掲載結果が得られているかどうかを確認して、必要に応じて設定を調整することをおすすめします。”
(引用:Google広告ヘルプより)
それぞれ100%の精度を保証するものではないとあります。特に「IPアドレスから導き出した地域情報は必ずしも正確ではない」と書かれている点について注目したいと思います。
IPアドレスによるエリア判定の精度
冒頭では、IPアドレスが都道府県などエリアごとに割り振られていて、そのデータを元にエリア判定を行うことができるとお伝えしていました。
しかし、そのIPアドレスでの地域情報は必ずしも正確では無いと書かれています。それは一体どういうことなのでしょうか。
IPアドレスは「ICANN」から「JPNIC」そしてインターネット・サービス・プロバイダ(以下:プロバイダ)に管理が委ねられます。プロバイダは「プロバイダ責任制限法」という法律に則り、IPアドレスなどのアクセスログを記録する義務があります。
プロバイダはアクセス情報の記録と契約者を紐付けることができるので、犯罪などに利用された場合、IPアドレスの開示請求を行うことで犯人を特定することが可能になります。
IPアドレスの情報とともに日時も記録されルータを経由し、インターネット接続をしていた場合には場所も特定できるそうです。
ここまででは、非常に精度の高いもののように思います。しかしこのような意見もあります。
”しかし、IPアドレスがどれだけ細かく地域別に割り振られているかはISP(プロバイダ)によって異なっており、特に市区町村レベルにおいては精度はマチマチのようです。そのようなこともあり、Googleアナリティクスで使用されているデータベースは日本国内の情報として精緻なものとは必ずしも言い難く、正確な地域判定が行われているようには見られません。”
(引用:【質問】Yokohama、Shinjuku、osaka..からのアクセスって本当?)
フレッツ光、Yahoo!BB、NURO光などのプロバイダによって、IPアドレスと顧客のエリアの紐付けの精度がバラバラなようです。
これらのIPアドレスと位置情報をまとめたデータベースが「IPアドレスデータベース」です。これにはいくつかの種類があるようで、「GeoIP2 City Database」や「SURFPOINT」などIPアドレスとエリアを紐付けたデータベースがあるようです。実際にGoogleアナリティクスがどのデータベースを元にエリア判定を行っているのかは定かではありませんが、何らかのIPアドレスデータベースを利用して、エリアの判定を行なっているのではないでしょうか。
まとめ
なぜ、GoogleアナリティクスとGoogle広告のエリアに誤差があるのか?については、それぞれのエリア判定の方法が異なっていることが原因であることがわかりました。また、Google広告よりもアナリティクスの方がIPアドレスのみの判定ということで、精度が低いということがわかりました。
マーケティング戦略を組み立てるときに、アナリティクスのデータも利用されていると思いますが、エリア情報が曖昧なのであれば、使い方を考え直さなければいけませんね。
無料のツールといえど、今後はGoogle広告と同じエリア判定の方法を取り入れて、整合性を保ってもらえると、ありがたいですね!