Google広告はAIの学習により進化しているのは、今やみなさんもご存知でしょう。ただ「AIに任せているのに成果が伸びない」と感じている人もいるかもしれません。果たしてAIの学習には偏りがあるのか、今回はAIの学習というのはどんなものなのかについて解説します。
AIはCVを元に偏る?!
前提として、Google広告ではAIが学習をしてCVしやすいユーザーに配信を寄せていく、という特徴があります。たとえば10人に配信した中から3人に反応があれば、この3人に似た特徴のユーザーにさらに配信するようになっていきます。一方で、それ以外のユーザーには配信や表示を控えるようになります。
これがくりかえされると、広告の配信先はどんどん絞られていきます。その結果、AIが「こういう傾向のユーザーがCVする」と判断したユーザー層にばかり広告が配信される可能性があります。これが「偏り」です。この偏りによって、デメリットが出てくる可能性があるのです。
1.AIが不要と判断したユーザー層にはリーチしにくい?!
CVしやすいユーザーと判断しているわけですから、普通に考えればその層に配信することはむしろ効率的だといえます。ただ、ここには落とし穴もあります。CVしやすいユーザーをAIが学習することで、そのユーザー層には配信を強めます。逆にいえば、新しくCVするかもしれない層には広告があまり届かなくなってしまうのです。
たとえば「年齢」「性別」だけならまだいいのですが、趣味・嗜好まで学習しているとすると「マイホームを持っている人」など、「持っている」「持っていない」というような単純な区別でユーザーが絞られてしまう可能性があります。Googleではさまざまなデータを検索履歴から細かく分析しているので、単純に分析にユーザーを当てはめられてしまうとCVするユーザー層がかなり限定的になってしまいます。
2.配信エリアを設定していてもエリアが限定的になる?!
Google広告には、配信エリアの設定ができます。そのエリアの端でCVが発生した場合、AIはそれを学習します。それによって、大きな配信エリアからCVが発生している隅のほうに配信を寄せていく可能性があります。そのことで集客につながるなら問題はありませんが、本来は店舗周辺に配信したい場合や集客につながっていない場合はこの偏りを解消する必要があります。
3.広告文・バナーを正しく検証できなくなる?!
たとえば2つの広告をテストしているとしましょう。広告配信が一部の人にしか届いていないと、正確な数字が取れなくなってしまいます。どんなにいいクリエイティブであっても、イメージしているユーザーに配信されなければ効果が発揮されません。ある一定層だけで判断するのでは、そもそものテストが成り立たなくなってしまうという面もあります。
このように、少ないクリック数で高い効果を獲得するために、成果の出る見込みが高い配信に絞ろうとするのが機械学習です。この性質自体が悪いわけではありませんが、新規のお客さまを獲得するという点では、少し問題が出てきてしまうのがデメリットといえます。
4.偏りを解消するには
入札戦略を見直す
自動入札を使っている場合には「目標CV単価」「CV数の最大化」などを使っている場合が多いのではないでしょうか。一時的に「クリック数の最大化」のように受け取るシグナルが少ない単純な入札戦略で、学習をリセットするという方法があります。
2週間程度「クリック数の最大化」にしておくことで学習がリセットされます。その後、再度「CV数の最大化」に変更して学習のし直しをしてみてください。
■偏りが出ているエリアを除外する
偏りエリアを除外することで配信の偏りがリセットされ、CVにつながる新たなエリアを学習することができます。
■管理画面上のCV設定を見直す
CVを設定すると、AIはその設定したアクションを行ったユーザーにフォーカスします。CVというのは実際の来店ではないので、設定が低いといくらCVを獲得しても来店につながらない可能性もあります。マイクロCVやCVデータを蓄積する段階ではそれでも構いませんが、一定数のCVがたまってきたら設定を見直してより精度の高いCVだけに絞りこむことも効果があります。
まとめ
これまでは、AIが学習することでリアルタイムに広告配信に強弱をつけてくれるので、CVの獲得ができていました。ただ、最近では逆にAIの学習が効果をさまたげてしまうケースも見られます。せっかくの配信も、偏りによってCVになかなかつながらない、ひいてはCPAが上がったままになってしまうかもしれません。AIの学習は100%ではないことを念頭にいれて、成果が落ちてしまったときにはいったん学習をリセット・再学習させる、ということも試してみてください。