1.アドフラウドの実情
「アドフラウド(Ad Fraud)」というのは、インターネットの仕組みを悪用して広告の成果を偽り、広告費を搾取するさまざまな広告の詐欺行為です。
人を惹きつける媒体を作ることで広告収入を期待する、というのはどの媒体でも同じ理論です。ただ、インターネットでは誰でも広告媒体になることが可能で、免許や配送販売ルートなども不要です。小額でも始めることがでできるため、参入のハードルが低いという側面があります。
例)アクセスは多いが入りづらいアダルトサイト
● ブラウザーの裏側や非表示の領域で
別の健全なサイトを呼び出し、そこに広告を表示して広告を受注する
● 広告枠だけを高速にリロードして
広告を何度も表示することで配信数を水増する など
広告の表示数やクリック数の偽装など、さまざまな手法が編み出されていて、各事業者が技術と人力によって日常業務の中で個々に対処と排除の努力をしています。アドフラウドに対しては、業界をあげて対策が進められています。
アドフラウドの種類
2.広告業界の社会的責任
アドフラウドは、広告主が直接の被害を受けます。
常時監視され、排除の対処がされており、事後に発見された場合は当該配信先への広告費の支払いの停止、デマンド側への請求額からの差し引きや返金なども行われています。また、事前の防止策として広告配信先の審査強化も進んでいます。中間事業者は、たとえアドフラウドとして発生した広告費であっても収益となりますが、一般的なモラルのある事業者であれば、信用リスクの大きさを認識しているでしょう。
世界的にアドフラウドの主要な市場となっているプログマティック広告市場は、インターネット広告市場全体の数分の1を占めていると言われています。さらに、その配信トラフィックの1割が、アドフラウドに由来するものであるとも言われていますが、これにはそもそも課金対象ではないものや返金済みのものも含まれています。結果、被害全体としてはインターネット広告市場全体の1%未満ではないか、という調査もあります。
これを多いと見るか、少ないと見るかはさまざまな意見もあるかもしれませんが、アドフラウド対策を進めるということは、反社会的勢力の資金源を断つ、という役割もあり、企業の社会的責任としても、アドフラウド対策は必要な活動であるでしょう。