リスティング広告

効用・限界はデータの収集方法によって違う?!

インターネット広告が誕生してから2年後の1998年ごろから、測定のためのデータ収集が行われており、大きく分けて2種類の方法で現在もデータ収集が行われています。それぞれ効用と限界があり、その特徴を生かすことが大事になってきます。

1.全数調査

インプレッション数やクリック数のような対象すべての測定データを収集する方法。
測定タグで測定が可能で、量的な効果の測定に使われる。

インプレッション数に加え、到達指標(リーチ、フリークエンシーなど)や効果指標(クリック、コンバージョンなど)なども測定でき、一般的な測定方法として広く活用されています。簡単に誰でも測定ができるため、インターネット広告業界でも依然基本的な調査方法です。

限界と課題

●ログによる測定は行動のみ(サイト訪問履歴やクリックの有無など)
→サイトの訪問理由やクリック理由などの意識の変化は測れない。
すべてのログを収集するためコストが膨大
●モバイルアプリなどはそもそも測定が困難
●一概に並列で比較しづらい
→媒体ごとのクリックの定義
→トラフィックやクリックを機械的に発生させるプログラムの存在

2.パネル調査

調査パネルから特定の条件に合致するユーザーを抽出し、アンケートで意識・態度変容を確認すること。パネル調査でしか測れないことも多く、有効な効果測定手段。

任意に集めたユーザーに対してアンケート調査を行うことが可能で、調査パネルに登録しているモニターから、デモグラフィック情報(性別・年代・職業など)やサイコグラフィック情報(意識や所有商品など)などを取得できる。

質的な効果を測定するのに使われ、認知度や態度変容を確認することで広告の効果を示すのに活用されます。全数調査がさまざまな要因で難しい場合、パネル登録者にのみ配信コントロールをすることで、測定費用を抑えることができます。また、アンケートの実施により、全数調査では測定できないメディア到達状況を把握できます。

課題

パネルの種類の問題
「ランダムサンプリング」
協力してもらうユーザーを調査したいエリア内の特性に合わせてランダムに抽出。 代表性のあるサンプルで、世の中の動きを把握するのに有効。

「自己登録制」
協力意志のある人が自分で調査パネルに登録。
エリアを代表するサンプルとは言えないが、条件に合ったターゲットへのアンケートに有効。

自己登録制の利点
・本人の許諾を得られるので、さまざまなデータ収集が可能
・大量のプロフィール情報や企業・ブランドに対する関与なども取得可能
・これまで難しかった測定データと意識データの組み合わせで、行動の根拠をより正確に把握できる

パネル規模の問題
パネル調査が実施可能な、ある程度の一定の量(登録者人数)が必要

注意点
インターネットによりデータ取得が簡単になったことで、企業などが独自で大量のデータを集めることができるようになりました。ただ、これらの「ビッグデータ」は、特定のサービス、特定の商品を所有するなどの偏った集団から取得していることが多く、全体を把握するために必要な代表性を確保するのは難しいものです。パネル調査とはそもそも種類の違うデータだということを理解しておきましょう。

パネル調査には、測定環境と調査をするサンプルの条件を正しく設定し、ビジネスの仮設に照らし合わせて測定結果を理解することが大事になります。

3.それぞれの測定での課題

アプリでの動画広告測定の難しさ

動画広告の測定には大きな負担がかかる
動画広告は、主にアプリで視聴されることが多くなっているため、アプリへの測定用SDK(「Software Development Kit」の略でソフトウェア開発キットのこと)の設定や、アプリ上の動画プレイヤーの改修などが必要です。配信テストを含めた時間やリソースもかかってきます。

視聴判定の定義
基本的には視聴されたかどうかが判定の基準となりますが、どの程度視聴されたらカウントするのかなどの定義を確認することが大事になります。
「CPV=Cost Per View」再生1回あたりのコスト
「CPCV=Cost Per Completed View」再生完了1回あたりのコスト
「ビューアビリティ」 広告掲載インプレッションのうち、実際にユーザーが閲覧できる状態にあったインプレッション(ビューアブルインプレッション)の比率

不正クリック(アドフラウド含む)

ここ数年で、欧米ではアドフラウド(広告を機械的に表示させたりクリックさせるプログラム)などの悪質なプログラムにより、広告効果を不正に水増しする、ということが問題になっています。中間指標を重視する広告主が増えてきている日本でも、問題視されてきています。

識別子の重複カウント(クッキーなど)

「クッキー」とはWebサイトがスマホやPCの中に保存する情報のことで、「サードパーティクッキー」とは効果測定で同一の消費者の識別するためのクッキーです。

現在では有効期限を1~2年に規定しているクッキーが一般的になり、セキュリティーツールで定期的に削除されることもあります。また、1人のユーザーが複数のデバイスを利用していたり、同じデバイスでも、複数のブラウザを利用するとクッキーが別になるため、ユーザーを複数カウントしている可能性があります。

媒体による測定タグの受け入れ制限

測定タグは広告の配信に影響するため、慎重な媒体もあります。
受け入れる測定タグの一部を限定したり、いくつかの審査に合格したベンダーのみを受け入れる「広告測定タグの審査制度」を設ける媒体もあります。

ブラウザーのトラッキングの制限(ITPなど)

iPhoneに搭載されるiOSデバイスの標準ブラウザであるSafariでは、ITP(Intelligent Tracking Prevention)の導入で、iOS11以上では、サードパーティクッキーでの測定が実質できなくなりました。クッキーに代わる手法も出てきていますが、現時点ではスマホのブラウザーでは実用性は確定していません。

プライバシーへの配慮

EU加盟諸国を中心とした欧州では、個人情報を含むデータについて厳しい取り決めが2018年5月に施行されています。日本への影響は現時点ではわからないものの、欧州経済圏のユーザーを抱えるメディアではルール作りが求められ、日本でもプライバシーへの配慮は守られるべき、という考え方が当たり前になってきています。

4.今後の課題

測定によるデータ取得は万能ではありません。
定義がメディアによって違ったり、アプリ上での測定の限界や媒体のポリシーなどで測定ができないケースも多く、あらゆる広告が測定できないのが実情です。今後も課題は増えることが想定され、減ることはないという意見もあるのが現状です。

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