Google 広告の中でも、「DSA」と呼ばれる動的検索広告について、「名前は聞いたことあるけれど、仕組みまではわからない」「なんとなく難しそう」と感じている方もいるかと思います。
今回はこのDSAについて、似た傾向のあるP-MAXとの比較なども交えながら、特徴や使いどころについて、できる限り専門用語を使わず広告運用初心者にもわかりやすい形で解説します。
1.動的検索広告(DSA)とは
DSA(Dynamic Search Ads:動的検索広告)とは、Google がサイトの情報をもとに自動で検索広告を生成・配信してくれる仕組みです。「Dynamic=動的」「Search=検索」「Ads=広告」という名前の通り、Google がウェブサイトの内容を読み取り、その情報に合った検索キーワードで広告を表示する形式です。
最大の特徴は、広告主がキーワードを個別に登録する必要がない点です。通常の検索広告では、手動で各ページにキーワードを設定する必要がありますが、DSAではGoogleが自動的に「〇〇のページには××の内容があるので、△△の検索をしている人に広告を出そう」と判断して、配信します。キーワードの設定自体は不要ですが、「どのページにランディングさせるか」の設定は必要です。対象ページのURLを指定することで、その内容に基づいて自動的にユーザーを見つけ広告を配信します。
また、Google が自動でタイトルや説明文も生成してくれます。ただし、すべて任せきりにするのではなく、説明文を補足したり、ランディングしてほしくないページを除外したりと、ある程度のコントロールが必要な部分も存在します。
こうした特徴から、商品ページが数百〜数千あるような大規模サイトや、ページ更新の頻度が高いサイトにとっては、キーワード管理の手間を大幅に削減できる仕組みです。
2.DSAとP-MAXの違い
最近注目を集めている P-MAX と DSA は、どちらも自動配信型の広告という点では共通していますが、運用目的や適した活用場面は大きな違いがあります。
P-MAX は、検索だけでなく YouTube、ディスプレイ広告など Google のあらゆる配信面に一括で広告を出せる「オールインワン型」のイメージです。一方、DSA は検索だけに特化しています。広告が表示されるのは検索結果ページのみで、YouTube やディスプレイ広告には表示されません。
目的の違いを簡単にまとめると、P-MAXは「色々なお客さんにリーチして幅を広げる」、DSAは「検索に的を絞り自動的に運用していく」というイメージです。
運用面での違いもあります。P-MAX はブラックボックス的な要素が強く、細かい設定や調整が難しいのに対し、DSA は対象ページのURL指定・除外設定、広告文のアレンジが可能など、運用者がコントロールできる範囲が広く、使い勝手が良いのも特徴です。
3.メリット・デメリット
DSA の一番のメリットは、「キーワードの取りこぼしを減らせる」点です。日本語にはさまざまな言い回しがあるため、通常のキーワード広告では拾えない表現も少なくありません。DSA はページ内容に基づいて自動で判断し、そうした表現の違いによる取りこぼしをカバーできます。また、競合性の高い定番キーワードを避けつつ、同じニーズを持つユーザーにリーチできる点も魅力です。
一方でデメリットも存在し、希望するページにランディングさせられない点があります。 たとえば、会社概要ページやコンバージョンにつながりにくいページが広告のランディング先に設定されてしまうケースがあります。こうした事態を防ぐためには、事前に除外URLを設定するなど、初期段階での整理が重要です。
4.効果的な使い分け
DSA は以下のようなケースで特に効果を発揮します。
- 商品やサービスのランディングページになる対象が数が多いサイト
- キーワード登録の手間を減らしたい
- 見つかっていない検索のニーズを広げたい
逆に、1ページ完結型のLPや、あまりページ数が多くないサイトでは、必ずしも導入する必要はありません。
また、P-MAX との使い分けも重要です。「検索から丁寧に集客した方が成果が見込める」といった場合は、コントロール性の高いDSAが適しています。一方、「とにかくリーチを広げたい」「配信面はおまかせで良いので数を打っていきたい」という場合は、P-MAXの方が向いています。
まとめ
動的検索広告(DSA)は、Google が自動でウェブサイトの情報をもとに広告を作成・配信する検索特化型の広告手法です。キーワード設定が不要で、広告文も自動生成されるため、運用の効率化が可能です。
検索広告を軸に、その補完的な役割として導入するのが効果的です。予算が少ないアカウントの場合、広告が分散して成果が感じられにくいこともあるため、月間予算が20万円以上あるようなアカウントで導入するのがおすすめです。目的や運用方針に合わせてDSAとP-MAXを使い分けることで、より効率的で成果につながる広告運用が実現できるでしょう。


2025.12.18

