1.フルファネル時代
企業の広告キャンペーンは、単体メディアに絞って行うことは少なく、複数媒体にまたがって行われています。また、デジタル化でこれまで取得できなかったデータとの紐づけが可能になり、媒体ごとの広告到達度、さらにその先の広告認知や態度変容に加えて、来店や購買などの接点を、オンライン/オフラインそれぞれで把握できるようになりました。
このようなことから、インターネット(オンライン)と他メディア(オフライン)それぞれの影響を含めた効果を確認することが必要になってきています。さらに、各接点の効果と接点間の関連を示し、その先のファン化に向けた「キャンペーン全体=フルファネル」を管理することが大事になってきています。
フルファネル時代の広告キャンペーン
ユーザーはある一点の広告接触で買うかどうかを決めるのではなく、さまざまな媒体での広告/情報接触の積み重ねが態度変容につながっていると考えられています。そのため、キャンペーンのそれぞれの点を紐づけ、その時点での意識/態度変容を確認すれば、購買に至るまでのプロセスを把握できます。インターネット上では、クッキーやIDなどの識別子で動きを線で把握できますが、すべてがネット上で完結するわけではないため、オンライン/オフラインのデータを紐づけた分析が必要なのです。
具体的には、特に影響が大きいテレビCMとの関係性に、テレビ接触データとインターネットログデータを紐づけたキャンペーンの効果測定がよく行われるなど、その方法もより進化しています。ハイブリッド調査(調査パネルに全数調査をを組み合わせる)が重要になってきていて、媒体間の効果差の確認に活用されています。
2.共通指標の必要性
テレビCMは「GRP(延べ視聴率)」、新聞/雑誌は「発行部数」、インターネット広告は「インプレッション(延べ配信数)」というように、管理指標はそれぞれ違います。
また、「テレビ視聴データはリーチの把握が可能なので、リーチベースの測定指標を活用」、「インターネット広告は配信数でカウントされるが、複数デバイスの利用増加で重複カウントがある」など、測定指標の考え方そのものも大きな違いがあります。さらに、テレビCMは「画面全体に映像と音楽が流れてインパクトが大きい」、インターネット広告は「限られたスペースに多様なパターンで表示され、クリックすることでその場で簡単に詳細な情報が手に入る」など、それぞれの特徴もかなり違ってきます。
このように、広告キャンペーンの複雑化/多様化で、それぞれの媒体を横並びで管理/評価できる共通指標が求められてきています。ただ、到達指標をどう合わせるか、到達1回あたりの効果の考え方など、共通指標を確立するにはまだまだ課題多いのが現状です。
3.インターネット広告の価値
企業活動で、広告は欠かすことができない重要なものです。
たとえ直接売り上げに繋がらなくても、ユーザーの意識を変えたり、将来的な売り上げ/顧客の獲得につながる可能性もあります。ただ、目先の売り上げだけに注視してしまうと、長期的な意味では利益損失になってしまうこともあるでしょう。
デジタル化によって、インターネットの活用はこれからも広がっていくでしょう。まだまだ課題が多い現状ですが、それらが解決されていけば、今後のインターネット広告の重要性は高まっていくと思われます。今後のインターネット活用のさらなる拡大に向け、その時点でのネット広告の価値と効果を正確に把握していくことが大事になってくるでしょう。