クリックやコンバージョンを不正に水増しする不正広告のことを「アドフラウド」と言います。最近コンバージョンが少ないと思っていた人、これが原因なのではと思った人もいるのではないでしょうか。これは防ぎたいですよね。今回は、不正広告「アドフラウド」について解説します。
1.アドフラウドは何のためのもの?
アドフラウドというのは、はっきり言って悪意のあるツールです。収入を増やしたいと思う人が、不正クリックで収入を得るために仕込むもの。お金もうけを目的に、クリックを不正にどんどんと増やすためのツールです。
2.具体的にはどういうこと?
Google AdSenseはご存知ですか?
自分のHPやブログには広告枠を設置することが可能です。広告枠に広告を表示させ、クリックされると自分のところに手数料が入るという仕組みになっています。つまり、広告がクリックされたり、アプリがダウンロードされたりすることで手数料が入る仕組みですが、それを利用してダウンロードやクリックを稼ごうとするのです。これが「アドフラウド」です。
3.どこに仕込まれる?
では、Googleで表示される検索広告で不正クリックが多数あった場合はどうなると思いますか?この場合は、Googleに手数料が入るので儲かるのはGoogleです。儲けたいという場合、検索型広告ではクリックしても儲かりません。仮に「Google広告の信頼性を落とそうとしている」「自分のほうが技術が上であることを見せつけたい」と思っている人がいるとしたら、Googleの検索型広告に仕込むこともあるかもしれませんが、普通は儲からないのにわざわざ仕込んだりはしないでしょう。直接的にお金を産むことはないので、ハードルは高いと言えます。多く発生しているのは「ディスプレイ広告」や「アプリ広告」関連です。
4.アドフラウドの種類
ここで、代表的なアドフラウド6種類を紹介しましょう。
1)クリック洪水(クリックフローティング)
1ヶ所で行ったクリックが、複数個所でクリックされたと認識されるというもの。名前の通り、洪水のように大量にクリックが発生してしまいます。
2)bot自動プログラム
botというプログラムを使って、いろいろなところのクリックを大量発生させたり、アプリをダウンロードさせたりするものです。クリックや表示だけでなく、アプリのダウンロードも報酬の対象になります。特にアプリのダウンロードの場合、このbotによるプログラムがよく使われます。
3)異常行動
アクティブユーザー数が突然増えたり、減ったりする現象で、botによる不正アクセスによって異常な数値が出る現象のことです。
4)インストールハイジャック
ウイルスに感染させたPCやタブレットを使い、遠隔操作で広告表示やクリックを自動的に行わせる行為です。
5)インストールバリデーション
Botを使って、アプリのインストール自体を偽造する方法です。ここまでくると、かなり専門的な手法です。
6)端末養殖場(デバイスファーム)
大量の端末を用意し、その端末でそれぞれクリックをして報酬を発生させるという方法。1つの部屋に何千枚という単位で端末を用意し、クリックさせていくという光景は、想像しただけで気持ちが悪いですね。
5.実は検索型広告にも影響がある?!
ご紹介した6つのアドフラウドですが、主にはディスプレイ型広告やアプリ広告に仕込まれています。冒頭では、検索型広告ではGoogleが儲かるだけだということをお伝えしました。ただ、実は「検索パートナーに広告を表示させて報酬を得る」という方法があるようです。
広告というのはGoogle検索をすることで表示されますが、実はオプションとして「検索パートナー」と呼ばれるところにも広告を配信できるようになっています。
(Googleヘルプより)
検索パートナーについては、Googleヘルプでこのように説明されています。Goo、BIGLOBE、Livedoor、OCN、価格.comなどには検索エンジンがあり、その検索結果に一緒に広告を表示させる、という仕組みです。検索パートナーはこの他にもあります。このようなGoogle検索以外の検索パートナ―にも広告を表示させることで報酬が得られるのではないか、と言われています。
偽造されたコンバージョンが検索パートナーで大量に発生した場合、AIが間違った学習をしてしまい、検索パートナーへの配信頻度を増やすことでGoogle検索での表示比率が減ってしまい、コンバージョンも発生しにくくなってしまう、という問題が起こっていると考えられます。
6.検索パートナー表示への対処法
これは設定で変更が可能です。
管理画面を開き、任意のキャンペーンを開きます。さらにキャンペーンを選択した状態で「設定」を開きます。
中央に「ネットワーク」という項目があるのでクリックしてください。このように、「検索ネットワーク」という項目の中の「Google検索パートナーを含める」にチェックが入っている場合は、このチェックを外してください。これで、検索パートナーへの配信が行われなくなります。
ただ、検索パートナーで必ずアドフラウドが発生しているのかと言うと、これはまだ正確に把握されていません。心配な場合は、チェックを外して配信を停止しておくのが無難です。
まとめ
ディスプレイ広告のアドフラウドを検証するのは、かなり困難なようです。これを防ぐためのツール導入も選択肢の1つとされているようですが、Googleでも対応には取り組んでいます。ただ、Googleの技術でも検出するのが難しい不正クリックを、他社が検出できる仕組みが作れるのかどうかがこれを防ぐためのツール導入のポイントになってきそうです。