リスティング広告を運用しているみなさんは集客はうまくいっていますか?弊社で運用しているアカウントのデータでは、2023年の後半、特に10月以降の集客が非常に厳しかった感があります。数店舗であれば店舗独自の問題も考えられますが、集客が悪かった店舗が多い印象です。はたして業界全体に影響する事象があったのか?今回は、ペコリスのアカウントデータによるGoogle広告の数値から、2023年10月から12月のトレンドを追いかけてみます。
1.平均クリック単価のトレンド
「競合性が高まっている」という仮説を基に、業態のワード(整体院・治療院など)についてクリック単価の変化を見てみましょう。
10月初旬は113円からスタートしています。
そこから、10月16日(月)あたりに最初の山が来ています。
平均クリック単価が142円まで上がり、そこからしばらく上がったり下がったりと波があります。
11月に入ると、まず11月15日(水)に大きな山が来ています。
ここでは、なんと185円まで上がってしまいました。
その後、12月に入ると若干落ちつき150円~160円あたりで推移しています。
ただ、12月後半になるとさらに上がってきました。
12月25日(月)には最高到達点の192円にまで上昇です。
10月からの3ヶ月で、平均クリック単価は113円から192円まで上昇しています。
年末に向けて競合性が高まり、どんどん上昇しているのが数値からもわかります。
2.クリック数のトレンド
グラフには、青い線の「クリック数」も表示されていることに気づいていましたか?
10月1日(日)のクリック数は912です。
一方、平均クリック単価が最高到達点に達した12月25日(月)のクリック数を見てみると687クリック、約2/3まで落ちています。
ここで予算を増額していればクリック数をキープすることは可能ですが、予算がそのままの場合は「クリック単価が上がったことで獲得クリック数が減少した」ということがわかります。
3.インプレッションシェアの損失率
競合他社の新規参入や予算の増加・投入が多いほど損失率の数字は上がってきます。インプレッションシェアの損失率には「ランク」と「予算」があります。
インプレッションシェアの損失率(ランク)
広告ランクが原因で広告が表示されなかった割合です。この期間のデータを見る限り、年末付近にランクで損失率の微増傾向がありますが、それほど大きな変化は見られません。
インプレッションシェアの損失率(予算)
予算が原因で広告が表示されなかった割合です。予算に関してもほぼ横ばい、あまり変化はありません。
一般的にクリック単価が上がっているということは、競合性が高まったことでインプレッションシェア損失率(予算)が上がる傾向にあるのですが、このデータの数値から見ると、広告の表示頻度が落ちた原因は広告ランク・予算ではなさそうです。
4.2023年10月から12月のデータから見る傾向
クリック単価が上がると、通常はそれに比例してインプレッションシェア損失率(予算)が上がる傾向にありますが、今回の2023年10月から12月のデータを見てみると、その傾向はあまり見られません。「予算不足がそれほどないものの、クリック単価が上がった」ということになります。
原因として、コンバージョン数の最大化によりクリック単価の高騰が起こっているのではないかと思われます。「コンバージョン数の最大化」とは、コンバージョンが取れそうなユーザーに対して、クリック単価を上げ、上位表示を狙うものです。いろいろなところでコンバージョン数の最大化を設定していることで、そのアカウント同士での競合が激しくなってしまったのではないかと考えられます。
まとめ
今回のトレンドを見ると、「クリック数の最大化」の設定で集客の落ち込みがある印象です。クリック単価を無理に抑えようとする方法では、他社と競争する力が弱いのではないかと感じます。
今後は、広告の管理画面上のコンバージョンをなるべく多く、最低でも月間20件以上獲得したいところです。その上で、目標コンバージョン単価(TCPA)の設定でクリック単価の高騰を抑えるような施策を考える必要がありそうです。ただし、コンバージョン数が少ないと、TCPAの設定がうまく機能しない可能性があります。月間コンバージョン数を20件以上はしっかりと取れるようなコンバージョンの設定と、配信量の維持が重要になってきそうです。