CV測定に不可欠なのがGoogleタグ。とはいえ、Googleタグは実はなくても測定する方法はあります。Googleタグがあるに越したことはないのですが、厳密にいえばあってもなくても大丈夫なものでした。ただ、現在は必須です。長年広告を運用している人のなかには、設置できていない人もいるかもしれません。今回はそんな人も含めて、知識のアップグレードという意味でもGoogleタグについて解説します。
1.すべてのページに設置すべし
これまでは、Googleタグを設置しなくても、ペコリスのような代理店ならGoogleタグマネージャーを使ってCVタグを発火させることで十分対応できていました。あるいはCVデータをより正確に計測できるように「CVリンカー」というタグを一緒に設置していました。
最近では、このCVリンカーのタグをGoogleタグが兼ねるような役割になりました。現在では、Googleタグを設置すればCVリンカーのタグは必要ありません。いわばCV測定のベースタグとも言える、土台となるタグがGoogleタグという位置づけです。
2.なぜGoogleタグが必要なのか
最近のインターネットでは、プライバシー保護に力を入れています。Webサイトの閲覧履歴を追跡する「Cookie」という技術がありますが、これに対して厳しい規制をかけるようになってきました。アップルのSafariなどに搭載されている機能で、ITP(Intelligent Tracking Prevention)といいます。
たとえばこれまでの広告追跡は、店舗を訪れるたびに外から第3者(サードパーティー)が見張っているイメージです。この場合はいろいろな店舗を訪れた際に、どこで何を買ったのかが第3者に知られてしまう可能性があります。このことがプライバシーの観点から疑問視されるようになってきたのです。
3.「見張り方」が変わった
Googleタグにより、見張り方が変わったといえます。自店でメモを取る方式、いわゆる「ファーストパーティーCookie方式」です。広告をクリックしてWebサイトを訪れた際、「この人は広告から来ましたよ」という情報をWebサイト自身が発行します。Googleタグは、これをファーストパーティーCookieに書き込むことができるのです。
わかりやすくいうと、あなたが店舗に来店した際、店員が「このお客さまは〇〇の広告を見て来店した人」ということを、自分の店舗内だけでメモを取るというイメージです。第3者にそのメモは見えません。ITPのような規制は、この「自分の店舗内でのメモ」にはあまり厳しくありません。店舗を出てまた同じ店に戻って商品を買ったとしても、先ほどの「〇〇の広告から来たお客さま」というメモは残っているので、正確に広告の成果としてカウントできます。
4.拡張CV
拡張CVとは「秘密の合言葉で本人確認をする」という機能です。Googleタグはこの機能も提供しています。たとえば店舗で買い物をしたお客さまが同意をしたら、メールアドレスの一部を暗号化して、個人が特定できないような形の「合言葉」として店舗が覚えておくという仕組みです。
この「合言葉」を後で広告のシステムに渡すと「この合言葉を持つお客さまは、あの時広告を見てくれた人である」と過去のデータと照合することができます。このことで、さらに広告の成果としてカウントすることが可能になります。Cookieに頼らない方式なので、プライバシーの規制がさらに厳しくなった場合でもCVを測定できる可能性が高い仕組みです。
5.同意モード
さらに最近出てきたのが「同意モード」です。同意に応じて柔軟に対応していこうというものです。たとえば「Cookieを使ってもいいか?」という同意をwebサイトで求めるものですが、最近こういった場面が増えています。「同意するかしないか」に応じて、データの集め方を自動調整する同意モードという機能です。
「同意しない」を選択した際には完全に計測しないのではなく、集まった限られた情報から、推計・想像して教えてくれます。同意しない場合でも、まったくデータが取れないわけでないのです。
まとめ
Googleはいってみれば第3者です。それなのに、なぜファーストパーティーCookieとしてデータを扱えるのか、少し疑問が残りますよね。これが実はGoogleタグのうまい仕組みでもあるのですが、GoogleタグをWebサイトに埋め込むことによってWebサイトが発行したCookieという扱いになるのです。先ほど説明した「店舗の店員」としてGoogleタグが働いているイメージです。
当然、外部のGoogleがWebサイトのデータを取得する行為は「第3者がデータを取得する」ことになります。Googleタグがサイト内に存在することで、webサイトのドメインを使ってCookieを発行できるということです。それがファーストパーティーCookieとして扱われます。この仕組みでGoogleは広告をクリックしたユーザーのデータを取得することができ、サードパーティーCookie問題後でもお客さまのターゲティング精度を保っているのです。