改善する、ということは普通は数値や効果を上げるためにやるものです。
ここでは、あえて数値を落とす、あるいは改善そのものをやめる、という改善についてご紹介します。
1.CTRを落とす
これまでにも何度か登場しているCTRとは、広告のクリック率です。
一般的にはCTRが高ければ高いほど、効果が高い広告だということになります。
ところが、CTRを上げることで広告全体の投資対効果が下がることがあるのです。
極端に目を引いたり、誇張表現のような広告は、ユーザーの目にも止まりやすく興味も大きいものです。それでCTRが上がっても、CVR(コンバージョン率)が下がってしまうのではあまり意味がありませんよね。興味を持ったユーザーがクリックしたとしても、それに対して明確な提示ができなければ、ユーザーはコンバージョンはしてくれません。
CPC課金(クリックごとに課金)であれば、無駄なクリックだけが増えて広告費用がかかってしまうだけということになってしまいます。リターゲティング広告を行っていれば、コンバージョンの見込みのないユーザーに対して、一生懸命に無駄な配信をしていることになってしまいます。
このような場合に、「あえてターゲットを絞って、見込みのないユーザーにクリックされないような広告にする」というやり方があるのです。「腰痛に悩む40代の方へ」というようにターゲットをあえて絞ることで、CTRは下がるとしても「それ私のこと?」というユーザーが訪れるため、結果的にはCVRが上がることになるのです。
ただし、CTRが下がることで評価が下がり、入札単価が上がって広告を配信しづらくなるというデメリットも出てきます。CTRを下げずにターゲット以外のユーザーを除きたい場合は、ターゲティング(年齢・性別など)や配信面(どのサイトに出すか)の細かい設定、検索ワードの除外設定などをする必要が出てきます。
2.コンバージョンを落とす
web上でのコンバージョンが増えても、それが売上に繋がらなければ意味がありません。以前にご紹介したweb以外でのコンバージョンやLTVを広告ごとに把握することで、不必要なコンバージョンが見えてきます。
単にコンバージョンを増やすことだけを目的にしてしまうことで売上効果が悪化したり、そのサービスや商品に満足しないユーザーが購入・利用することで、口コミやレビューなどで逆に悪影響を及ぼすこともあります。
「最小のコストで売り上げを最大にする」ということを心に止め、質の悪いコンバージョンを生む広告は止める、縮小する、クリエイティブを変えるなどの対応も考えてみましょう。
3.撤退するライン
残念ながら、何をやっても一向に効果が上がらない、ということはあります。
「止めたい、止めた方がいいかもしれない」と思っても、それまでの労力や費用を考えると止められない、という思いで効果の上がらない広告をずるずると出し続けてしまう・・・。
こんなことにならないためにも、広告を停止するラインを決めるのをお勧めします。
どこまで効果がなければ広告を止めるのか、これはとても難しい判断です。
例えば、事前に決めたKPI(新規顧客獲得数)とシミュレーションを4ヶ月連続で下回ったら、などと決めてみてください。
撤退のラインを決めるのには、メリットがあります。
・大きな損害を予め防げることで新しいチャレンジがしやすくなる
・理由が明確であれば、止める理由探しに時間を取られない
・今までその広告の改善にかけてきた労力やお金を他に使える
予め期間を決めておけば、その期間にその改善にきちんと取り組むこともできます。
さらに1度撤退したからといって、その後に同じ広告を絶対にしてはいけないわけではありません。状況が変わったり、環境が上向きになったときにまたチャレンジしてみる、ということもできるのです。
再チャレンジをするときには、ぜひ環境の変化を加味しながら、過去の経験を活かせるようなチャレンジをしてみてください。