1.ステルスマーケティング
広告主から対価が発生しているのに、それを隠して気づかれないようにマーケティング活動をすることを「ステルスマーケティング(通称:ステマ)」と言います。
例)
・企業から金銭/物品などを提供されて書いた記事を、客観的、中立公正な記事であるかのように装う。
・事業者が一般の消費者になりすまして、口コミサイトなどで自社の商品を勧める
・有名人などに謝礼を渡してSNSに好意的なコメントを投稿してもらう
その他、「だますつもりではないとしても、広告費が払われている広告を媒体の編集記事のように書く」「広告費用そのものが発生していなくても、媒体側の編集判断に何かしら影響を与えるようなことがあった」など、明確にステルスマーケティングとは言えないまでも、曖昧なものもあります。ステルスマーケティングは、一時的に利益を得られたとしても、結果的には大きく信頼を失うことになるものです。
記事の内容が正しいかどうかとは別に、消費者が商品/サービスを利用・購入する場合に、「誰からの情報か」ということが購入の意思決定に影響します。ただでさえ信頼度が高いものから低い情報までが混ざっている状態のインターネットで、「ステマ」は消費者に対して情報を偽り、誤った消費行動に誘導して不利益を与えることになり得ます。
広告掲載基準ガイドラインでは、「広告であることの明示」と「広告主体者の明示」が規定されています。
■広告であることの明示
広告エリアと記事/コンテンツのエリアを明確に区分する
■広告主体者の明示
広告メッセージの送り手=広告主を明示して、媒体社が関わる場合はその関係性を明らかにして責任の所在を明確にする
最近では、広告であることが分かるように「広告」「AD」「PR」などの表記をするように推奨されています。金銭のやり取りがない場合は「商品をもらって使ってみた」「イベントに招待されて行った」といった内容を冒頭に入れることで、関係性を明示しているとみなされたりもします。
2.掲載先の品質
「枠から人へ」という、広告の掲載場所よりも広告に接触する対象・人を優先するようになったことで、広告掲載先の品質の軽視につながった、という指摘があります。
特に、ブランドにとっては不適切なメディアやコンテンツに広告が掲載されてしまうことで、ブランドイメージが損なわれる可能性があり、広告全版への信頼も失う恐れがあります。「不適切」には2種類考えられます。
1)個々のブランドやキャンペーンによって判断
→そのブランドの世界観や価値観にとって適切か不適切か
2)あらゆるブランドやキャンペーンにとって不適切
→わいせつ/薬物/詐欺/著作権侵害など違法となるコンテンツ
反社会勢力が関与している場合や、不適切な掲載先にブランドイメージの高い広告が掲載されることで、その掲載先やコンテンツが正当なものだと誤解を与える、といったことにも注意が必要です。
3.不当/違法広告掲載先の排除
こういったことを防ぐために、ブランドセーフティガイドラインなども策定され、「広告掲載不適切コンテンツカテゴリ」を定めて、該当するサイトを排除するような対策も取られています。
広告掲載不適切コンテンツカテゴリ
・ 肯定・美化などで犯罪を助長しているもの
・ わいせつ行為や違法な性表現に関するもの
・ 生命の死・暴力などの醜悪/残虐な表現で不快感を与えるもの
・ 詐欺・悪徳商法など消費者等をだますもの
・ 差別や人権侵害をしているもの
・ 商標権や著作権を侵害するもの
・ 違法薬物の販売やそれを肯定するもの
・ その他、不当/社会通念上好ましくない内容が含まれるもの
これらをふまえて、海賊版サイトについて組織団体が一定の手続きと判断でリスト化をしたり、警察庁の委託団体が違法・有害サイト情報を収集したり、広告配信事業者も独自に審査や判定を行う、といったことも行われています。ただ、すべてを排除するのは難しく、AIなどの最新技術とともに数千人規模で監視要員を雇うなど、さまざまな対応が試みられています。