最近スマホで検索をすると「AIの概要」というものが表示されませんか?これは「AI Overview」というもので、広告よりも上に表示されているはずです。さらにGoogleのクリック数が減少したというニュースも報道されました。AI概要とクリック数の関係はあるのか?今回はこのAI Overviewについて解説します。
1.アメリカではAI概要でトラフィックが減った事例も
実は、AIの概要表示によってトラフィックが70%以上も減ったという事例があります。これは、アメリカの日曜大工に関する情報サイトの話。2024年3月から数ヶ月の間に、Google検索からのトラフィックが70%減ったというのです。いろいろな調査の結果、AIによる概要が表示され始めた時期と重なっていることがわかりました。これは、AIが日曜大工のアドバイスをするようになり、Webサイトを利用する必要がなくなってしまったことが要因ではないかと考えられています。
2.日本でのAI概要の表示
日本でもAIによる概要が表示され始めています。昨年の夏ごろまではあまり見かけることはなかった感覚なので、10月~11月ごろからだったのかもしれません。そう考えてみると、ちょうどリスティング広告の成果が落ち始めた時期に一致します。成果が落ちてきた要因のひとつの可能性として考えられます。
キーワードによっては表示される場合とされない場合があります。このアルゴリズムによっても広告への影響は変わってきそうです。
3.なぜAI概要が表示されるようになった?
これまでは、検索エンジンで調べるのが当たり前でした。AIの登場で、最近ではAIに質問して情報を得る機会が増えてきています。AIの回答の精度も上がってきており、納得できる回答や情報を得られるようになってきたのは大きいでしょう。
また、AIを経由してWeb上の情報を検索したり、その情報を精査したりすることもできるので、Web検索にこだわる必要がなくなってきています。AIといえばOpenAIのChatGPTが有名ですが、これに対抗してGoogleもAI開発に乗り出し「Gemini」というAIを開発しています。現時点ではこの2つがメインとも言え、激しい競争が巻き起こっています。
Googleは、今後1,000億ドル(15兆4,300億円)の投資を行うことを表明しています。想像を絶する金額ですが、これは1日1億円使ったとして4,000年かかるという途方もない金額です。これだけの投資をしていることもあり、Googleでは検索にGeminiの回答を表示させることで、ユーザーに機能に触れる機会を増やしているのだと思われます。機会が増えることで、Geminiを使うユーザー数の増加も見込んでいるのではないでしょうか。
4.AI概要表示によって今後想定されることとは?
何と言っても、これまで情報検索は検索エンジンに頼っていましたが、一部はAIを利用した検索に変わっていくでしょう。Web上の情報をAIが取得し、AI上で商品の比較がされるようになれば、ますます検索エンジンの需要は減るでしょう。
そうなれば、今度はいかにAIに取り上げてもらうか、がとても重要になってきます。AI上でのSEOや広告が出てくるでしょう。仮に広告が出ずにAIの判断を100%としてしまうと、自由競争がなくなってしまいます。AIが服でも車でも、家でも、その人の趣味嗜好に合わせた選択をして、提示された物を購入するというようなすべてAIに任せる日が来ないともいえませんね。
まとめ
これまでにも、さまざまな技術が進歩して色々なことが便利になってきました。AIもそのひとつですが、加速度的にどんどん進歩しています。今後どのように進歩し、どのように利用されていくのかに注目しておく必要がありそうですね。