Google広告の入札戦略には「手動入札」と「自動入札」があり、自動入札の代表例である「コンバージョン(CV)数の最大化」は、AIが自動で入札を最適化し、運用の手間を大きく減らせるのが特徴です。ただし、便利な反面、細かく調整できない項目もあります。本記事では「CV数の最大化」を利用する際に、どんな入札単価調整ができて、どんな調整ができないのかを整理して解説します。
1.できない調整
まずは、「CV数の最大化」を使っているときにできない調整から見ていきます。
曜日・時間帯の調整
1つ目は「曜日・時間帯の入札調整」です。例えば「平日の昼はCVが多いから+30%にしたい」「日曜の夜は成果が悪いから-50%にしたい」といった、パーセンテージ指定による調整はできません(手動入札では可能です)。ただし、代替方法として、「広告スケジュールで配信そのものを停止する」ことは可能です。つまり、入札単価を上げ下げすることはできませんが、「配信する/しない」というオン・オフの切り替え(0か100か)の設定はできます。
デバイスの調整
2つ目は「デバイスの調整」です。スマートフォン・PC・タブレットといったデバイスごとに「+20%」「−30%」といった細かな調整はできません。ただし、例外として特定のデバイスを完全に除外(−100%)する設定は可能です。例えば「タブレット・PCからは集客したくない」といった明確な意図がある場合には、この設定を利用できます。
インタラクション調整
3つ目は「インタラクション調整」です。これは、例えば電話広告のクリックや動画広告のスキップといった、ユーザーが広告に対して取る行動に応じて入札を強弱できる機能です。Google広告の「高度な入札単価調整」で設定できます。しかし、「CV数の最大化」を使用している場合、このインタラクション調整は適用されません。
以上のような細かな制御は、手動入札や別の入札戦略で行う領域となります。
2.できる調整
ここからは、「CV数の最大化」を使っていても設定できる調整を見ていきます。
地域別調整
1つ目は「地域別調整」です。配信エリアごとに入札の強弱をつけることができます。例えば「東京都は+30%」「大阪府は−20%」といったように、地域別に調整が可能です。地域によってCV率や獲得単価が大きく異なる場合、この設定が特に効果を発揮します。自動入札を使いながらも、地域差を反映させて配信の濃淡をつくれる点は、実務上の大きなメリットといえます。
オーディエンスの調整
2つ目は「オーディエンスの調整」です。これは、特定のユーザー層に対して入札を強めたり弱めたりできる機能です。例えば、リマーケティングリストを活用している場合、「過去30日以内にサイトを訪れたユーザーには+50%」「リマーケティングリストに類似したユーザーには+20%」といった設定が可能です。つまり、成果が出やすいユーザー層を強調して配信することが、自動入札でもできるということです。また、年齢・性別・世帯収入といったユーザー属性についても、同様に強弱の設定が行えます。
3.注意点
自動入札は、あくまでGoogleのAIによる最適化が前提となっています。そのため、設定した入札調整が常にそのまま反映されるとは限りません。Googleが学習の結果、「より効果的」と判断した場合には、設定内容を無視して最適化される場合があります。こうした仕組みを理解した上で、成果が出やすいユーザー層を重点的に強調する目的で使うことが、自動入札を活かすコツです。
まとめ
今回は「CV数の最大化」を使用している際に、どんな入札単価調整ができるのかを解説しました。「曜日・時間帯」「デバイス」「インタラクション」は調整できませんが、一方で「地域」と「オーディエンス」の調整は活用できます。自動入札を運用する際は、調整できる部分とできない部分を正しく見極めることが重要です。その上で必要な設定を行い、最適な広告運用を実現していきましょう。


2025.11.27

