ChatGPTの登場やGoogle検索へのAI導入によって、この2〜3年でユーザーの「調べる」という行動は大きく変わりました。本記事では、AIの登場で検索行動がどう変わったのかを4つに整理し、そのうえで広告主が取り組むべき3つの対応策を解説します。
1.アクセスが減った原因は「探し方」の変化
最近、次のような変化を感じている事業者の方は少なくありません。
- 検索からのアクセスが減ってきた
- 広告の表示回数が以前より伸びなくなった
- 若いお客さんに来店のきっかけを聞くと、Googleではなかった
こうした変化は、お店やサービスの魅力が落ちたことや、広告の運用内容が悪くなったことが原因ではない場合が多くあります。原因はもっと手前にあり、お客さんの「探し方」そのものが変わったことにあります。
ただし、探し方が変わっても「困っている人がいて、それを解決するお店がある」という構図は変わっていません。変化の中身をきちんと押さえ、そこにアジャストしていけば対応は可能です。大きな予算をかけられない中小の事業者ほど、押さえておきたいポイントです。
2.変化①:「キーワードを打つ」から「質問する」へ
最もわかりやすい変化は、検索の仕方そのものです。
これまでの検索は、「京都 整体 おすすめ」のように単語を並べるのが一般的でした。頭の中にある悩みを、いったん短いキーワードに変換する作業を、多くの人が無意識に行っていました。
一方、AIに質問することに慣れてくると、検索は次のような形になります。
- 「腰痛がしばらく続いていて、京都市内で仕事帰りに寄れる夜遅めの整体院を探しているけど、どこがいいか」
このように、話し言葉のまま質問するイメージです。これはChatGPTに限った話ではありません。Google検索にも「AIモード」や「AIによる概要」が導入されたことで、Googleでも長い文章で検索する人が増えています。
広告運用の観点では、検索クエリが長くなり、種類もバラバラになっていくことを意味します。一つひとつのキーワードの検索ボリュームは小さくなる一方、クエリの種類は爆発的に増えます。GoogleがキーワードにとらわれないAI MaxやP-MAXを強く推している背景も、こうした変化にあると考えられます。
3.変化②:「クリックしないで終わる検索」が増えた
2つ目は、SEOの世界で今最も話題になっている変化です。
Googleで検索すると、検索結果の一番上にAIがまとめた答えが表示されることが多くなりました。「この制度の対象は誰か」「このお店の営業時間は」「何分茹でるか」といった疑問は、そのAIの答えを読むだけで解決してしまいます。
つまり、検索はされているのに、どのサイトにも訪問されない検索が確実に増えています。「検索順位は変わっていないのにアクセスが減っている」という現象の原因の多くは、ここにあります。
ただし、減っているのは主に「調べるだけ」の検索です。「予約したい」「買いたい」「〇〇に行きたい」といった検索はなくなっていません。調べるだけの人がAIの答えで満足して離れていく分、サイトまで訪れる人のうち、意図がはっきりした人の割合は高まっています。
表示回数やクリック数だけを見て「激減している」と焦ってしまうと、この点を見誤ることになります。
4.変化③:「比較はAIに任せて、最後に確認する」
3つ目の変化は、今回最も重要なポイントです。
これまでの流れは、いろいろ検索していくつかのサイトを見て、比較しながら候補を絞っていくというものでした。この「比較して絞り込む」という最も時間のかかる部分を、今はAIに任せる人が増えています。
たとえば、AIに次のように相談したとします。
- 「小学生の子どもに合う、月1万円くらいの習い事を探している。運動系で、送迎しやすいのがいい」
するとAIは、「こういうタイプの教室が合いそうです」といった候補のジャンルや、場合によっては具体的な名前まで返してきます。そこでおおよそ絞り込んだうえで、最後にそのお店の名前やサービス名で検索し、公式サイトを訪れるという流れです。
広告主の側から見ると、比較検討の段階でAIに候補として挙げてもらえなければ、その後の検索もそもそも発生しないことになります。以前であれば「整体 京都」のような広告を出しておけば、比較の最初の段階から土俵に上がり、比較の対象に入ることができました。今はその土俵がAIの中に移りつつあり、ここがこれまでと決定的に違う点です。
そのため、次のような点が新しく重要になっています。
- AIが自社をどのように説明するのか
- AIが参照する情報がWeb上にきちんとあるか
また、最近ではChatGPTの中に広告を表示する仕組みも始まっています。これはまさに、ユーザーがAIに相談しているその瞬間に接点を持つための手段の一つです。
5.変化④:「検索する場所」が分散した
4つ目の変化は、検索する場所です。
現在はGoogleだけでなく、ChatGPTやGemini、さらにYouTube、Instagram、TikTokといったSNSの中でも、多くの人が日常的に検索しています。特に若い世代では、飲食店や美容室を探す際にGoogleより先にInstagramやTikTokで探す人がかなり多いと考えられます。
- 行きたい場所を決めるのはSNS
- 住所や営業時間を確認するのはGoogle
このような使い分けが進み、「検索=Google」という前提は少しずつ崩れてきています。
もちろん、現在もGoogleの存在感は圧倒的であり、この点は誤解のないよう押さえておく必要があります。そのうえで、「自社のお客さんはどこで探しているのか」を業種ごとに改めて見直す必要が出てきています。
6.AI時代に広告主が取り組むべき3つのこと
ここまでの4つの変化を踏まえ、広告主として大事にしたい考え方を3つ紹介します。
キーワードを当てにいく運用から、意図を捉える運用へ
検索クエリが長くなり、種類もバラバラになる中で、キーワードを一つひとつ登録して管理するやり方だけでは追いつかなくなる可能性があります。今後はAI Maxのような仕組みも視野に入れておくとよいでしょう。
また、広告文やランディングページの内容そのものを、「こういうお客さんに向けたサービスである」と伝わるように作ることも大切です。AIにサイトをどう理解してもらうかを意識しながら作る発想が求められます。
数字の見方を変える
これまでは表示回数やクリック数を参照してきましたが、今後はゼロクリックでのコンバージョン、つまりAIで検索してそのままコンバージョンに至る流れが増えていくと考えられます。
そのため、クリック数が減ってもコンバージョンが取れていれば問題ない、と数字の見方を変える必要がある場面も出てくるでしょう。
AIに正しく理解される情報をWeb上に置く
次のような基本情報が、自社サイトやGoogleビジネスプロフィールにわかりやすく掲載されているかを確認しましょう。
- 会社概要
- サービス内容
- 料金
- 対応エリア
- 営業時間
- よくある質問
AIはこうした情報を読み取り、「このお店はこういう人に合う」と判断していると考えられます。決して派手な施策ではありませんが、こうした地道な取り組みが、AIに候補として挙げてもらえるかどうかを左右するようになってきています。
これら3つは、いずれも大きな費用がかかる施策ではなく、手間をかけて丁寧に取り組めば対応できる内容です。予算が潤沢でない中小企業は大手に負けてしまうと考えがちですが、こうした取り組みに一つずつ手を打つことで、大手と同じ土俵で戦える可能性が広がります。
まとめ
AIの登場により、検索行動は大きく4つの点で変化しています。
- 検索クエリが単語から文章へと変わり、種類も複雑にバラバラになっている
- クリックして探すよりも、AIからその場で答えを受け取る流れが増えている。ただし、予約や購入など意図のはっきりしたユーザーのサイト流入は残っていく
- AIによる検索が増えるほど、AIに候補として挙げられなければその後の検索にもつながらない
- 検索する場所がGoogleだけではなくなってきた
これに対して広告主が取り組むべきことは、以下の3つです
- キーワードだけでなく意図を捉える運用に切り替える
- 数字の見方を変える
- AIに正しく理解される情報をWeb上に置く
さらに、ユーザーがAIで壁打ちをしている段階で自社のサービス名や店名が出てこない可能性がある場合は、ChatGPTに広告を出すなど、検討段階でユーザーと接点を持つ広告の出し方も今後は必要になってくるかもしれません。
変化の中身を正しく押さえ、手間をかけてできることから一つずつ取り組んでいくことが、AI検索時代の集客につながります。まずは自社サイトやGoogleビジネスプロフィールの情報を見直すところから始めてみてください。


2026.10.29

