1.デジタル化で変化
ピーター・F/ドラッカーによれば、マーケティングとは「積極的な販売に頼らず、自ら売れる仕組みを作って行くもの」で、セールスとは「顧客に向き合って販売を行うもの」と位置付けられています。
消費者が自らブランドを信頼して選択、商品を買うという仕組みのマーケティングと、セールスパーソンが顧客1人ひとりのニーズを引き出してそのニーズに合わせた仕入れや商品のカスタマイズをし、他と比べての特徴や優位性を説明しながら売買契約をするセールスというのは、これまではそれぞれ役割が分かれていました。
最近では、例えばテクノロジーを活用したセールスの自動化が可能になるなど、マーケティングの役割である「売れるための仕組み」がセールスの領域にも入って来ました。このように、デジタルテクノロジーの進化でマーケティングとセールスの境界線はあいまいになってきています。
2.現実社会とネット世界の境界
コンピューターが普及し始めた当初は、コンピューターを使ったゲームやコミュニケーション、ECサイトなどでの買い物などのさまざまな体験は「バーチャル(仮想現実)」として、リアル(現実社会)と区別されていました。その後、インターネット上でのできごとは「オンライン」、現実社会でのできごとは「オフライン」と呼ばれるようになります。そして今や、その区別さえもなくなりつつあります。
現在のマーケティングでは、webで取得できるデータをwebのみで活用するのではなく、ECサイトでの販売動向や実際の店舗での販売データなどを積極的に統合して、全体の環境の中で戦略を考えて行く、という動きになってきています。今後のマーケティングは、オフライン/オンラインの区別なく統合的に考えて行くことが大切になっていきそうです。
3.デジタル化に対応するためには
デジタル化が進み、インターネット広告そのものもさまざまなデータを活用することが求められるようになりました。インターネット広告を運用するには、知っておくべき手法や知識はますます増えています。
ただ、1つ1つをすべて覚えるというよりは、1つ1つの基本的なこと理解した上で、全体像を把握していくことが大事でしょう。今のこのデジタル社会で、消費者は何を考えて、どのような動きをするのか。。。消費者の潜在的な欲求や心理を見据えられる力を養うことが大切になってきます。その上で、課題を解決するための最適な手法を見極めて実行できることです。
さらに、インターネット広告では新しいメディアや手法がつぎつぎと生まれていますが、最新のものが効果がある、あるいはベストであるかはわかりません。そういう意味でも、課題は何か、何を解決するためのマーケティングなのか、ということを正しく理解した上でいろいろな視点や手法で検討/判断できるといいですね。