YouTuberのヒカキンさんをご存じの方は多いでしょう。実は、ヒカキンさんがプロデュースするカップ麺「みそきん」が、この度再再販されやっと手に入れることができました!CMなどは一切されていないこの「みそきん」ですが、なぜここまで人気があるのでしょう。今回は、みそきんが売れる3つの理由を徹底解説します。
1.たまごっちブーム
ある程度の年齢の方なら1個は持っていたのではないでしょうか。「たまごっち」は、ご飯をあげたりトイレの世話をしてあげたりすることで成長していくたまご型の電子ペット。最近流行っている育成ゲームの走りとも言えます。1996年代に登場した初代たまごっちは、女性や子供に人気となり大ヒットしました。
2.「みそきん」はたまごっち戦略の進化系
私自身は当初あまり興味はありませんでした(笑)。ただ、周りの友人などから面白いらしいという話を聞き、やってみたら意外とおもしろい!それなら買ってみようと思った矢先、一気に品薄になってしまいました。品薄になる前に買っていた人と買えなかった人、持っているか持っていないかはちょっとした格差でした(笑)。
しかも、品薄になっていながらなかなか再入荷されませんでした。「買いたいのに買えない」というこのストレスが、余計にほしい気持ちに火をつけるわけです。買えなかった人はあらゆるところへ探しに行き、子供なら親や祖父母に頼み込んで買ってもらったという話もよくありました。そんな中、買えた人はちょっとした勝ち組です。
3.みそきん販売戦略3つのポイント
ポイント1:流通量
ヒカキンさんが実際に意図したかどうかはわかりませんが、このたまごっちのように「全員が手に入らない微妙な流通量」に抑えることで話題性にレバレッジがかかり、ほしいという欲求が雪だるま式に膨らむ効果があったと思われます。レバレッジとは「てこの原理」のことで、小さな力で大きなものを動かすことができる仕組みを指します。
もちろん最初はテスト的に少量からスタートしたはずです。ただ、あえてすぐに完売する量を小出しに販売して買える人・買えない人が出てくることで、話題性がさらに高まる現象が起こりました。みそきんの流通量はよく計算されているのです。
ポイント2:「みそ」のポジショニング
インスタントラーメンを考えてみると「醤油」「カレー」「シーフード」味というのは地位をすでに確立しています。また「豚骨」は戦国時代と言ってもいいでしょう。そんな中「味噌」はどうでしょうか。みそきんは、ライバルが少ない味噌を狙ったのではないかと思われます。
希少な醤油を使用している、スパイシーな大人向けのカレーなど、一過性の話題を作るのは可能かもしれませんが、もはや確立されたジャンルで1つのポジションを生むまでには至りません。そこでまだぼんやりしている「みそ」を狙うという戦略は素晴らしいでしょう。実は日清もカップヌードル味噌味を出していますが、人気はイマひとつです。「レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンをあえて狙う」というのが、みそきんの計算されているところです。
ポイント3:クオリティ
みそきんを手に入れるのは今回で2回目。実店舗のラーメン屋さんとはまた違いますが、インスタントラーメン、カップラーメンとしては非常にクオリティが高く、おいしいという感想です。家族も「定番になればいいのに」という感想でした。マーケティングの1番の肝は「おいしいから、また買いたい」です。
1人1個限定ということもあり、長蛇の列に発売時間前から並びましたが、かつての人気ゲーム「ドラクエ」の発売当初を思い出すような感じでした(笑)。
まとめ
みそきんの販売から学ぶマーケティング、いかがでしたか?「流通量のコントロールで話題作り」「みそのポジショニング」「クオリティ」という3つのポイントをご紹介しましたが、これはヒカキンさんの知名度があってこそではあります。ただ、ポイント2とポイント3は、どの業界でもすぐに実践できます。ぜひ試してみてください。
これまでは、テレビCMを使って商品を売っていく時代でした。それをせずにこれだけの話題を作り、商品がリアルに売れてヒットしてしまうという現象は、これまでの時代にはなかったマーケティングの手法です。まさに時代が新しく変わってきていることを感じますね。