キーワードのマッチタイプ「部分一致」。広告を運用している人なら聞いたことはあるのではないでしょうか。最近、Googleではこの「部分一致」の設定を推奨しています。では、実際にこの部分一致は無駄なワードを拾わないよう学習しているのでしょうか。今回は、実際のデータから検証します。
1.事例1
Googleは、この部分一致というマッチタイプがよりシグナルを受け取れるということで、これを推奨していますが、実際のデータではどうでしょうか。3ヶ月の期間で見ていきます。
これは「腰痛」を部分一致で集めた事例です。
検索語句を見てみると、腰痛のほかに「ヘルニア」というキーワードがよく表示されています。ほかに「背中の痛み」「反リ腰」「ヨガ」「整体院」など、業態ワードまで拾い込んでいる印象です。
この事例では「ヘルニア 対処」というキーワードでコンバージョンが記録されています。そちらに配信が偏っている印象を受けます。「反り腰」「腰が痛い」「腰の痛み」など腰痛関連のキーワードを拾っているのは良い点です。ただ、ヘルニアに関しては、ヘルニアの広告グループで拾ってほしいキーワードです。腰痛の広告グループでは除外してヘルニアを拾いこまないようにする必要がありそうです。
2.事例2
こちらは「骨盤矯正」のキーワードを部分一致で設定した際の検索語句です。
「骨盤矯正」なのに「整体」や「競合の整体院の名前」が上がっています。確かに骨盤矯正は整体で行いますが、これらは別の業態の広告グループで拾ってほしいワードです。
ほかには「骨格矯正」「姿勢のゆがみ矯正」など、骨盤矯正に関連性がないとは言えないものの「産後骨盤」など少し外れている検索語句も拾っている印象です。この事例の場合は「整体」という語句にクリックが偏っているようです。
「学習が進み制度が上がる」と言われる部分一致ですが、想定よりも制度が低い印象を受けます。さらに、少しでもコンバージョンが上がるとそちらに強く引っ張られている感じです。
3.事例3
「腰部椎間板ヘルニア 治療」というように、サブワードを含んだ事例も見てみます。
こちらの場合は、ヘルニアに集中できている印象です。「治療」というよりは、サブワードが「入院」に集中しています。「ヘルニア」の中にも「腰痛」も拾いこんでいるようなのが気にはなりますが、比較的「ヘルニア」でコンバージョンにつながっている印象です。
「入院」というワードはフレーズ一致でもこの広告グループには登録がなかったので、そこは部分一致で拾うことができているのは良いポイントです。
「ヘルニア 日帰り」というワードが上がってきているので「手術」なども上がってきているかといえばクリックはありませんでした。
4.3つの事例の検証
この3つの事例を見てみると、
●「部分一致」では「整体」のような包括的なワードも拾っている印象
●「ヘルニア・狭窄症・腰痛」の区別ができていないため、別の広告グループのワードに反応してしまっている
という印象を受けます。まだまだ、除外ワードを登録してコントロールする必要があるようです。一方で、プラス面としては「想定していなかったサブワードを発見できる」という点ではないでしょうか。
広告グループ/ランディング先のページを細かく分けない場合には、クリック単価を抑えることができ、想定外のワードでコンバージョンを獲得できるというメリットがあります。ただ、この症状はこのランディングページに流したいという場合は、部分一致で登録するのは難しそうです。除外の手間を考えると、フレーズ一致でも良いのではないかという気もします。
まとめ
今回の事例を見てみると、部分一致を使う場合は「キーワードのイメージがまったくつかず、どんなキーワードを登録すればいいのかわからない」という時に、テストマーケティング的に部分一致を試し、コンバージョンが発生したキーワードに寄せていく、という使い方はできるでしょう。ただ、「症状通り」「キーワードを狙っている」「そのキーワードでしっかりとLPに流したい」というような場合は、部分一致ではミスマッチが起こりそうな印象です。
「最適化される」というよりは、「偏り」の印象のほうが強いというのが正直なところです。「同じキーワードに入札が偏ってしまう」という過去のデータから、CPCが高騰しがちです。そのため、分散させてCPCの低いキーワードを狙うという方法がGoogleでは推奨されていますが、現時点では部分一致で運用し続けるのは少し難しそうです。