リスティング広告

バリューチェーンでのインターネット広告の機能と役割とは?

1.バリューチェーン

製品の製造や販売、それを支える開発や労務管理など、すべての活動を価値の連鎖として捉える考え方で、物やサービスにどのような価値が加わっているのかを表します。

付加価値が生み出されている部分はどこなのか、どの部分に強みや弱みがあるのかを分析するなど、競合と比較して強み、弱みを分析して事業戦略の改善策を探るフレームワークとして使われています。ここでは、バリューチェーンにおいてのインターネット広告の役割と機能を考えてみましょう。

2.「同梱」をデジタル化と広告の出し分け

新聞や雑誌での広告というのは、メディア自体に印刷される広告と主に定期購読者に向けてメディアに「同梱」されて届けられる折り込み広告/チラシがあります。この同梱される広告は、届け先(購読者)ごとに差し替えることができるため、エリアなどによって内容が変わってきたりします。

これをインターネット広告で考えてみると、インターネット広告はこの差し替えが簡単にでき、配信先ユーザーごとに広告主やクリエイティブを差し替えることができます。広告メディアに、コンテンツと広告クリエイティブが別々に異なるサーバーから配信されてユーザーのPCやスマホ上で統合されて表示される、という仕組みは、この広告の「同梱」のデジタル化とも言えます。

ユーザーごと(端末やブラウザーごと)の出し分けができれば、「ユーザーの嗜好や属性に合わせた出し分けがしたい」というニーズも出てきます。インターネット広告においてはそれが可能なため、広告を出し分けるためのデータを扱うプレイヤーも多く存在しています。

さまざまなプレイヤー例

■配信ログデータを収集し、加工/分析して提供
■自社が所有するデータを外部へ提供
■複数のクリエイティブを、ユーザーのセグメントに合わせて最適に出し分けるオプティマイズ配信を提供
■多数のパターンのビジュアル表現/色使い/キャッチコピーなどを、何万種類も自動生成して広告効果(最も簡単なものとしては短期的なクリック)を確認しながら、より効果の高いものに絞り込んでクリエイティブを最適化する技術を提供

3.DMPでのデータ管理

DMP:Data Management Platform(広くデータを管理するシステムやその提供者)を利用したサービスには、最適な広告配信のためのデータを収集/統合/分析する、推論/予想するなど、さまざまな機能があります。

 最近では同じユーザーが複数の端末やブラウザを利用することも多く、国内のユーザーデータが日本の人口を超えている、という現象も起こっていますが、これらをIDで紐づけたり、類推から統合するなども必要です。これは、DMPに期待されている役割の1つです。また、多くの質の高いデータを集めて統合したとしても、データというのは過去のものです。そこから今後の広告配信に活用するためには、AIなども活用した高度なシミュレーションや推論モデルというものも作っていくことが、これからは必要になっていくでしょう。

4.広告配信の最適化

「媒体コンテンツと分離され、端末上で統合されて表示される」インターネット広告は、もはや媒体単位での広告配信とは違います。だからこそ、異なる広告メディアを横断した複数の広告枠を束ねて、その中で個々の目的に応じた最適な配信先を選ぶことも可能になります。そのため、さまざまなプレイヤーも登場し、一見するととても複雑な構造に見えます。

ただ、基本的には「多数の需要と多数の供給を最適にマッチングする」ということを目指しています。需要と供給のバランスを図りながら、それぞれの広告効果を最大にしようとするもので、もともとは検索連動型広告の入札の仕組みの応用なのです。その役割を、「買い手」「売り手」「その中間で在庫を融通する」などの多数の担い手が存在することで、呼称や提供意図が変わってきたり、明確に区分できない場合もあるのです。

インターネット広告のワークフロー

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DSP(Demand Side Platform): 需要側から最適な配信先やユーザーを判断
SSP(Supply Side Platform):  供給側の在庫を市場に出し、複数のアドネットワークやDSPから入札を受けて最適な広告の買い手を判断

5.市場全体の最適化

インターネット広告業界は混沌として見えがちですが、効率性を優先した部分最適の蓄積の結果として生まれ、有効に機能してきました。ただ、一方では品質管理面での課題が出てきています。そのため、業界全体で技術をコントロールしながら市場の全体最適を目指しつつ、さらなる品質の確保/向上をうながす取り組みが進んでいます。

アドベリフィケーションの登場

第3者の視点からチェックするツールを提供する事業者で、バリューチェーン内での品質チェックの機能を担い始めています。

現場オペレーターの効率向上の活動

取引プラットフォームや媒体社が提供するさまざまな配信データを分析し、最適な広告の配信条件の設定や変更をし、常に配信状況を管理しています。

トレーディングデスク(広告取引運用業務)の活用

■広告予算を効率よく効果的に配分するメディアプランの作成支援システム
■複数のデータダッシュボードを1つの管理画面に集約する技術
■広告配信の結果を正しく広告主にレポートして次に生かすための分析を行う技術

など

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