Google広告の運用をしていると、「CVが付いていないキーワードは止めてしまってもいいのではないか」と考える場面があります。一見合理的なこの判断ですが、実はCVゼロ=停止すべきとは限りません。本記事ではデータドリブンの限界、データ不足、LP側の要因という3つの視点から、CVゼロキーワードの正しい判断基準を解説します。
1.CVゼロでも即停止すべきではない理由
過去1年ほどのキーワードデータを見て、CVが付いていないキーワードを止めてしまおうと考えるのは自然な発想です。Google広告にはアトリビューションという「CVをどのタイミングで割り当てるか」の設定があり、現在はデータドリブンがタイプとして使われているケースが多くあります。
データドリブンは、ラストクリック(最後のCVに至ったクリック)だけでなく、CVに至るまでの途中の接点にも貢献度を配分してくれる仕組みです。本当にそのキーワードが入り口として貢献していれば、ファーストクリックや途中の接点として何らかの形でCVが割り当てられるはずです。
それにもかかわらずCVが付いていないのであれば、「広告に貢献していないキーワード」と判断して停止してもいいのではないか、と考えたくなります。
ただし、CVが全く付いていないキーワードを無条件に残すべきだという話ではなく、「CVが付いていないという事実だけを理由に、すぐ停止していいものか」という問題です。停止を判断する前に、以下の3つの理由を押さえておく必要があります。
2.①データドリブンの限界
1つ目は、データドリブンという仕組み自体が万能ではなく、見えている範囲でしか評価ができないパターンです。
データドリブンは各クリックに対して貢献度を配分するため、ファーストクリックでも途中の接点でもラストクリックでも、CVがつく可能性があります。しかし、このルールから外れるケースも存在します。
たとえば以下のような流入パターンです。
- ファーストクリックは広告経由だが、2回目は自然検索で流入した
- 最終的なCVは自然検索からの流入で発生した
- お気に入りやリンク経由でサイトに入り、そこでCVした
このような場合、広告がCVを呼び寄せた要因であったとしても、管理画面上のCVには計上されません。結果として、キーワードのCVはゼロのまま、という状況が起こってしまいます。
つまり管理画面に表示されるのは、あくまで広告経由でCVしたケースだけです。このルールから外れたCVは、見えないまま評価から漏れてしまうのです。
3.②データ不足による誤った評価
2つ目は、クリックが少ないキーワードは評価自体がまだ早いというパターンです。
極端な例ですが、とあるキーワードに対して10クリックや15クリックしかない状態で「CVゼロ」と評価してしまうのは、少し無理があります。そもそものデータ量が不足しているため、適正な判断ができないのです。
キーワードはマッチタイプによって拾うボリュームが大きく変わります。たとえばインテントマッチでは1つのキーワードに対してかなりのボリュームの検索語句を拾い込みますが、フレーズ一致、完全一致と絞られるにつれて数が少なくなります。
ニッチなキーワードになるほど、獲得できるクリック数自体が少なくなります。ビッグワードは比較的評価しやすいものの、ニッチなワードを切っていいかどうかの判断には一定の時間とデータ量が必要です。
CVが取れているかどうかを見ていく上では、しっかりとデータ量を集めてから評価することが重要な軸になります。
4.③LP側の要因
3つ目は、キーワードが悪いのではなく、LP(ランディングページ)側が弱くて取りこぼしているパターンです。
Google広告のレポートでCVが付いていないキーワードを眺めていると、そのキーワードが悪者のように見えてしまいます。しかし実際にはLP側に問題があり、最終的にCVしなかったというケースも十分に考えられます。いわゆる受け皿側の問題です。
LP側に問題があると、どんなに良いユーザーをサイトに呼び込んでも、最終的にCVには至りません。その状態でキーワード一覧を眺めて「このキーワードは悪い/良い」と評価したところで、本当は優良なユーザーを呼び寄せている可能性のあるキーワードをカットしてしまうことにもつながります。
キーワードを評価する前に、まずホームページやLPの内容がしっかり作り込まれているかを確認する必要があります。その土台ができていない状態でキーワード単位の評価をしても、CVゼロという数字に引きずられて判断を誤ってしまうのです。
まとめ
今回はCVゼロのキーワードを停止するかどうかについて解説しました。基本路線としては、CVが付いていないキーワードを見つめて不要と判断したらカットしていくこと自体は問題ありません。ただし「CVゼロだから必ずそのキーワードが悪い」とは限らないという点を理解しておくことが大切です。
今回お伝えした3つの理由を整理すると、以下の通りです。
- 広告クリック経由で発生したCVしか評価できない(自然検索やリンク経由のCVは計上されない)
- データ量が少ない状態で評価すると、本来残すべきキーワードまで切ってしまう
- キーワードが悪いのではなくLP側に問題があり、結果としてキーワードが悪く見えてしまう
判断する際のポイントは2つあります。1つ目は検索意図がサービスに近いかどうかです。たとえば「整体院 予約 京都」「腰痛 整体 四条」といった集客に直結しそうなキーワードは、CVがゼロであってもあえて止める必要はありません。集客につながることがある程度予想できるキーワードは残しておいた方が良いでしょう。
2つ目は一定のクリック数が溜まっているかです。データ量が少ない中で判断すると、いろいろな可能性を考慮できません。ある程度データを貯めてから、不要なキーワードを見定めていくことが重要です。
成果が落ち込んでいる時ほど、改善を一気に進めようとしてCVゼロのワードをすべてカットしたくなりますが、極端な判断にならないよう注意が必要です。カットする際には検索意図も確認し、「数字はゼロだけれど残しておいた方がいい」というキーワードをきちんと見極めていく姿勢がちょうどよいバランスと言えます。 判断は難しいですが、何度も繰り返していくことでだんだん経験値が溜まり、良い判断ができるようになります。焦らず、丁寧にデータと向き合っていきましょう。


2026.06.11

